新年度…新社会人になる方も多いと思います。私が新卒で入った会社は表向きは福利厚生がしっかりしている会社だったので、企業型DC(確定拠出年金)がある会社でした。ちなみに今いる会社にもあります。新入社員の最初の研修で講義の時間があったのですが、正直全く意味不明でした。そして資産運用の知識がついたあとに今の会社に入って企業型DCの説明を受けたときに、罠があることに気付きました。その罠についてできる限り解説したいと思います。ただし、今回は初回なので企業型DCについて簡単に説明してみたいと思います。
企業型DCってなに?
結論:『退職金先にあげるから自己責任で増やしてね!あっ、増えることを前提にしてるからよろしく!!』っていう制度
この制度がある会社に入社すると自分の確定拠出年金の口座が開設され、その口座に毎月一定の金額が振り込まれ(拠出され)ます。ただし、『ヤッホー!この金で夜の街に繰り出すぞ!!』ということは残念ながらできません。このお金は60歳になるまで引き出すことができず、これが退職金の代わりとなるのです(※退職金全額を企業型DCで設計している会社と、一部のみを企業型DCで運用している会社とあります)。要は退職金の先払い制度のようなものだと思ってくれればいいと思います。
加入者である社員は毎月振り込まれた掛金を使って運用商品を購入します。運用商品には絶対に元本が減らないリスクが低いものから、元本が何分の一から何倍になるようなリスクの高いものまであり、それを自由に選択することができます。運用商品の分類は後ほど解説しますので安心してください。
運用して増えることを前提とした金額しかもらえない→これによって会社側はリスクを回避?
『ハルトの会社では60歳の価値を1.00000とし、運用利回り2%で現価に割り戻した場合の係数』を使って、毎月の拠出額が計算されます。頭に?がたくさんついているのがネット回線を通じて伝わってきます。技術の進歩はめざましいですね。
毎年2%で運用した時に60歳になったときに1万円になるように月々計算してお金を振り込みます…計算すると22歳のあなたには年47,160円(月3,930円)拠出します(これを年2%で60歳までの38年間運用すると12万円になりますよ)といった具合です。つまり、企業側は年12万あげますよと言いつつ、実際には47,160円しか拠出してくれていないことになります。
では2%確実に増やす方法があるのかと言われると、元本割れのリスクを負わなければないが正しい答えとなります。ではそのリスクを誰が負うのかと言うと…そうです、加入者である社員になるのです。
運用で得た利益は非課税
日本では貯金の利子や株式等の譲渡益(買った時より高く売れた分の利益)には所得税がかかります。ちなみに株式等の譲渡益に対する税率は約20%で、100万円利益を出すと20万円が税金でとられることになります。しかしながら、確定拠出年金ではこの税金がかからず非常にお得になります。
追加拠出も可能(税制優遇もある)
会社によりますが、マッチング拠出といって会社からの拠出金に自分のお金を追加することができる場合があります。メリットは2つあって、①確定拠出年金で運用して出た利益は非課税となるため、非課税で運用できる資金が増やせる②拠出した金額全てが所得控除の対象となるということです。②についてはこれだけを説明するとブログの記事が1本かけてしまうのですが…簡単に言うと税金が安くなると言うことです。これについてはしっかり記事にしたいと思いますので、まずはそれだけ知っておいてください。もちろん追加拠出したお金も60歳まで引き出すことができないので、そのデメリットを知っておく必要があります。
企業型DC商品の分類
結局何を買えばいいの?と思ったと思いますのでまずは企業型DCの商品の分類をしていきたいと思います。大きく分けて元本確保型or投資信託(元本が保証されない)の2つに分類できます。さら元本確保型は定期預金と保険にさらに分類でき、投資信託はもう少し複雑な分類ができます。
元本確保型
原則(※)元本割れのリスクなし↔︎ほとんど増えない
※保険を中途解約した場合は元本割れすることあり(逆にいうとそれ以外は元本割れしない)
元本確保型はその名の通り元本が確保されている商品です。厳密に言うと元本割れするリスクは0ではありませんが、自分でコントロールできることで回避できます。定期預金と積立保険に分かれます。
定期預金
絶望的にリターンが少ない
その名の通り預金です。普段皆さんがお金を銀行に預けるのと一緒です。一応利息がつきますがカンマのあとに0が多すぎて、利息はないと思った方がいいと思います。100万円10年預けると10年で200円利息がつきます。1年につきうまい棒2本です(最近値上げしてこれすら買えませんが)。どうしても元本割れすると蕁麻疹起こしてしまうレベルの方でないと到底お勧めできない選択です。
積立保険
少し利率が良くて解約しにくい貯金と解釈すればOK
なんで積立保険って保険って名前がついているのかいつも疑問です…この保険はいわゆる死んだらお金がもらえるとか病気になったらお金がもらえるとかという、みなさんがイメージをする保険ではありません。お金を保険会社に預けて利息をもらうというものです。銀行に預けるのが貯蓄、保険会社に預けるのが保険といえばそれまでなのでしょうが…要は銀行に預けるよりも利息が多くもらえる貯蓄だと解釈すればいいと思います。100万円を10年預けると1.5万円近くになるものもあるので、定期預金に比べればすごい利率ですよね。
もちろん利息が多い分こちらもリスクを追う必要があります。例えるならハンターハンターでクラピカがやっているそれですね!クラピカは自分の力を幻影旅団以外に使うと死んでしまうというリスクを負いますが、そのかわりにチート級のえげつない力を使うことができます!!
積立保険は5年とか10年の契約期間があってそれより前に解約してしまうともらえるお金が減る、場合によっては元本を下回ることもあるというリスクを負う代わりに、定期預金の数十倍の利息がもらえるというわけです。自分で言うのもなんですが、とてもわかりやすい説明ですね。
ただし総括すると個人的には元本割れのリスクを負うならもう少しパワーが欲しいところで、中途半端な位置にいるなと言わざるおえないと思っています。
投資信託(元本保証なし)
大きく増えるポテンシャルがある↔︎元本が保証されない
投資信託と聞くと難しく感じるかもしれません。簡単に言うと株や債権などの詰め合わせパックです。某有名YouTuberのかたのパクリになって申し訳ないのですが、弁当だと思ってもらえればいいと思います。自分が食べたい弁当を選ぶように、自分に合った投資信託を選ぶことができます。
弁当に例えると | 投資信託 | 備考 |
和食・洋食・中華 | 地域(国内・海外など) | 国内株式は自分が住んでいるところへの投資のため抵抗感が少ないし、為替リスクもない 海外株式は海外株式全体に投資するもの、新興国だけ・先進国だけなどさらに分類できる |
肉メイン・野菜メイン | 投資する商品の種類(株式・債権など) | 一般的に債権よりも株式の方が値動きが大きい |
チェーン店のパートさんが作る弁当・ プロの料理人が作る弁当 | 運用スタイル (アクティブ運用・ パッシブ運用) | アクティブ運用は投資のプロ(ファンドマネージャー等)が運用先を決定して平均以上のリターンを目指す 手数料が高い パッシブ運用は機械的に平均と同様になるように運用先を決定する 手数料が安い |
『今日の気分は洋食かな?肉多めのハンバーグ弁当!給料日明けでお金にも余裕があるからいつものチェーン店のお弁当ではなくて、フランスで10年修行した洋食屋さんの少しお高いお弁当にしよう!』とお弁当を選ぶのと一緒です。『最近日本は不景気って言われているから海外で…株式ばかりは怖いから債権多めで…手数料は安い方がいいからパッシブ運用の商品にしよう!』といった具合に、
(投資する地域)/(投資する商品)/(運用するスタイル)
という3つの要素を自分で考えてそれにあう商品を選べばいいわけです。もちろん、完璧にマッチする商品がなければ商品を組み合わせて自分の理想の割合で持つことが可能です。
地域
まずは投資したい国を考えます。
国内・国外という分類、日本・アメリカ・中国など1カ国に限定される分類や先進国・新興国というまとめ方をする分類などがあります。確定拠出年金の場合は選択肢とできる商品の数に限りがあるので、国内と海外(先進国)・海外(新興国)などに分類されることが多いように思えます。
投資する商品
次に株式・債権・REIT(不動産)・現物(金など)などといった投資する商品を考えます。
一般的に一番値動きが大きいのは株式であり時に数ヶ月で半分になったり、逆に○0%値上がったりと落ち着かない値動きをすることがあります。それに対して債権は値動きがもう少しマイルドです。株式と債権のバランスでリスクを調整すると言う手法が一般的だったりもして、確定拠出年金ではそういった商品も用意されています(株式50%債権50%で運用しますみたいなもの)。
REITは不動産の詰め合せパックだと思ってもらえればOK、REITの運用会社が持っている不動産の家賃収入や売買益などからの分前をもらうイメージです。
現物は有名なのが金で一般的には世界が不安定になった時に値上がりするイメージですね。
ただ、確定拠出年金は選択肢にできる商品の数が限られているため、株式だけのもの・再建だけのもの・株式と債権のMIXという選択肢だけだったりします。
運用スタイル
最後に運用方針を決めます。
手数料が高いかわりに市場平均以上の成果を目指して(保証するわけではない)運用するのがアクティブ運用、手数料が安くて市場平均になるように機械的に運用するのがパッシブ運用です。
まとめ
- 確定拠出年金とは退職金の先払のようなもので自分で運用商品を決めて運用する。
- 増やすことを前提に拠出金額が決定している。
- 運用商品は自分で選ぶ。元本保証型と元本保証なしに分けられる。
- 投資信託は地域・投資する商品・運用スタイルによって決める
以上が確定拠出年金の概要です。これだけでは何をするべきか全くわからなかったと思います。次回は確定拠出年金の絶対にやってはいけないことを説明し、逆にやるべきことを解説できたらと思いますのでよろしくお願いします。