みなさん薬剤師・薬学部ってどんなイメージでしょうか?私はずっと薬に関係する仕事しかしておらず、周りも薬剤師が多いのであまり世間がどういうイメージをしているかわからないのですが…
もし私が薬剤師になってよかったかと聞かれたとしたら、いい部分が8割で後悔2割って感じだと思っています。今日はそんな私が考える薬剤師になることのメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。ちなみに薬剤師になるためには薬学部にいくことが必須なのでその点も含めてお伝えします。
結論1:6年行くことと学費の問題がクリアできれば結構あり
結論2:薬剤師は人生最大の安全装置になりえる
薬剤師になること(薬学部に行くこと)のメリット
・女子が多い(男女比が絶妙)
・大学での勉強が将来役に立つ
・若いうちから割と高級取り
・転職が容易
・学歴が関係ない
薬剤師になること(薬剤師に行くこと)のデメリット
・6年行く必要がある
・学費が高い
・上級生でも遊べない・授業の選択肢が少ない
・将来の可能性が狭まる
・社会保険制度改悪の影響で将来の不安がないこともない
メリット1:女子が多い・男女比が絶妙
これが一番上に来るっておかしくない?と思われるかもしれませんがこのメリットは声を大にしていいたい!!
理系男子の悩みって何だと思いますか?そうです、極端に女子が少ないことです!理工学部の友達に聞くと50人くらいの学部生の中に女子がだいたい4、5人しかいないとかざらにあります。私自身薬学部なのでその苦しみを味合わなかったものの、高校3年生の理系クラスではクラス40人に女子はたったの8人…高校2年生まであんなに楽しかった文化祭が、高校3年時には消化試合と化した思い出があるので共感度が0ではありません。逆に理系女子の悩みに同性の友達が近くにいないというのは大きいと聞きます…
そんな中、薬学部の男女比はだいたい1対1なのです(私の時はもう少し女子が多かったのですが、時代は少し変わってますね…)。これがすごく絶妙で男女混合の実験班で実験するとか、薬学部限定のサークル活動で旅行するとか…私自身すごく楽しい青春時代をすごしました。本当戻れるなら戻りたいよ…
メリット2:大学での勉強が将来役に立つ
大学の勉強って意外と将来役に立たないものです…法学部生がみんな弁護士になりますか?経済学部生が学んだ経済学で会社に貢献しますか?理学部を卒業した人みんなが研究者でしょうか?意外とそれと関係ない仕事をしている人が多いと思います。というか医師・保育士・看護師みたいな専門職になるための学部以外はみんなそうだと思います。
薬学部では卒業生の多くが薬剤師として社会に出ることが多く、やはり大学での勉強がそのまま将来の仕事に直結します。将来役に立つかわからないことを何年も学び続けるのってやっぱり苦痛で、そう言った部分では大学での勉強の大きなモチベーションになると思います。
メリット3:若いうちから割と高給取り
2019年 国民生活基礎調査によると日本の平均年収は552万円、中央値は437万円とのこと。そんななか、、私は新卒2年目で中途入社した会社の年俸が500万円でした。それから600万円を超えるのには5年かからなかった記憶があります。確かに当時は4年生から6年生の移行期で薬剤師が最高の売り手市場であったこともありますし、調剤報酬もよかった時代でした。それでも年収400万台の初任給で雇ってくれる会社はまだまだ存在します。つまり20代で日本人の平均給与を超えることも夢ではないということです。
その分上げ幅が少ないのでしょ?って思われるかもしれません。確かに初任給が高い分上げ幅は少なく、『20代の年収と50代の年収がほとんど変わらない』とか、『最初は高校の同級生の中で一番高給取りだった私も40歳手前にはみんなに追い抜かれて一番の低給者だわ』とかって話はなくないと思います。
ただこれには反論したくて、薬剤師も社内でしっかり昇進できれば他の業種と同じくらいの高給取りになり得ますし(うちの会社でも1000万円以上もらっている薬剤師はいます、もちろん役員クラスの選ばれし人ですが)、なによりも20代のお金って本当に価値の高いものなのです!
年々薬剤師の給料は悪くなっているかもしれませんが、それでもまだ他業種と比べると恵まれていると思います。ちなみにこのメリットもFIRE向けだと思っていますが、それはまた別の機会に分析したいと思います。
メリット4:転職が容易
私は新卒は医薬品メーカーに入りたくて、多分25社くらいの面接を受けたと思います(内定2社)。2〜3ヶ月の就活期間は毎日のように会社訪問・面接・エントリーシートや履歴書の作成で本当に大変な思いをしました。そんななか入った会社も1年で退職を決意し、また転職活動を始めると…1週間かからず転職できました。ま面接が試験じゃないんですよ!うちはこういう会社ですよから始まって、『で?いつから働いてくれるの??』みたいな!本当にあの地獄のような就職活動はなんだったのか…
薬剤師という資格はそれほど強力です。今の会社もいつやめてもいいかな、というメンタルで働けるけることはかなり楽ですよ。もちろんこれから薬剤師の待遇は悪くなるかもしれません。ただ、薬剤師免許があるだけで、仕事にありつけないということは…私が生きているうちはないと思います。
メリット5:学歴が関係ない
東大薬学部卒の薬剤師じゃないと販売できない薬ってありますか?処方箋を持って行くときに『あそこの薬剤師さん〇〇大学卒らしいから行かないほうがいいよ!』なんて話聞いたことありますか?どこの大学でもいいんです、薬剤師になってしまえば!!医師はどうしても学閥があるみたいですね…
現に私は同僚の薬剤師の学歴を気にしたことがありません。気にするのは仕事ができるかできないかだけで、仕事の質と学歴がリンクしているようにも全く感じません。高偏差値だった薬学部も6年生導入による敬遠と新設校の乱立でかなり入りやすくなっています。どんな人でも少し頑張れば入れる大学があると思います。薬学部の就活で学歴フィルターというのも聞いたことないですしね、実際知りませんが…
デメリット1:6年間通う必要がある
デメリット2:学費が高い
デメリットのほとんどはここに凝縮されていると思います。就職までに2年遅れるということと、その分高い学費を払わなければいけないというところは最大のデメリットになります。私立薬学部の6年間の学費の平均は1100万円から1200万円ほどと言われており、私立理系大学の総額が500万から600万円と言われていることを考えるとかなり高額です。また社会に出れない2年間の就業による収入の損失を年500万円と想定すると、2年間で約1500万円ほどの損失があるのかなと思います。奨学金を借りる場合その利息分も負担することになります。薬学部を選択する上で必ず検討しなければいけない事項だと思います。
デメリット3:上級生でも遊べない・授業の選択肢が少ない
『朝起きれないから1限の授業はとってないです』、『俺ほとんど去年単位取り終わってるから大学行くの週1だわ』などとほざくバイト先の友人がどれだけ羨ましかったか…薬学部の授業はほとんどが必修です(9割5分くらい)…1限から3限まで午前中はびっしり必修の授業・午後は実習という感じで高校生とほとんど変わらない感じになっています。4年生の終わりにOSCE・CBTという名のいわゆる5年生への進級試験のようなものがあり、5年生は実習、6年生は国家試験の勉強と忙しさたっぷりです。上記の友人みたいな大学生活に憧れがあるならば薬学部ではない(できれば文系学部)を強くお勧めします。
デメリット4:将来の可能性が狭まる
これはもちろん人それぞれですが…薬学部にいると薬剤師になることが当たり前すぎて、将来そうなるものだと勘違いしてしまいます。日本人の同調圧力というのは恐ろしい…もちろん企業に就職してMR(医薬品の営業)や治験(新薬の試験)の仕事をする人、公務員(保健所など)を目指す人もいますが、それでも薬剤師の域を大きく抜けることがなく、就職活動もそれ以外の選択肢を捨てがちになってしまいます。例えば大学生活を送るうちにITの道に進みたいと思っても、なかなか大学から情報やサポートを得ることが難しくなりますし(薬科大のような大学は特に)、周りにそんな人がいないのでなかなかその一歩を踏み出しにくいものです。私自身薬剤師に向いていないと薄々気づいていたものの、何となく薬の道しかないと考えて就職活動をしてしまったことに後悔しています。
デメリット5:社会保険制度改悪の影響で将来の不安がないこともない
これも結構深刻な問題です。特に調剤薬局にいくと薬剤師は社会保険料制度改正の影響をもろうけします。現に私が薬剤師になった10年前から調剤報酬は減らされ続けています。高齢化で医療費は年々増加、しかし少子化による生産人口現象で財源は減少…要は医療需要は増え続けるけど、儲けが悪くなるわけで、単価が減少…同じ仕事をしても貰える給料が少なくなるか、いまより多くの仕事をして同じ給料をもらうかしか無くなってくると思います。今の給料をもらえる保証はどこにもなくて、50代で年収300万代みたいな時代が来る可能性だってあります。
まとめ
以上のことを総合すると…
2年間という時間と1500万円を支払いたくさん勉強することで、理系男子であっても女子がたくさんいる青春の6年間と他よりいい給料がもらえ転職しやすい薬剤師という資格が手に入る…でもそれが将来まで保証されるとは限らない…
ただ…トヨタの社長が終身雇用を諦めている時代です。大企業に就職してもいつ裸で放り出されてもおかしくないことを考えるとと比べると、薬剤師の将来の不安ってそんなに大きいかな?どこでも不安なのは一緒じゃないかな?っていうのが私の考えです。薬剤師の未来をどんなに悲観してもこの免許が無駄になること、食べていけなくなる未来は想像できません。それに薬剤師の仕事をしながら別の食い扶持を作る努力はできます。少なくとも大学に6年通うだけで、手に入る薬剤師という安全装置のコスパは悪くないはずです。
少しでも薬学部・薬剤師に興味があって、お金の工面ができるのであれば自信をもってお薦めさせてもらいたいと思います。